構造屋に無理を言う時は・・・

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構造屋はほとんどの場合、意匠設計者の協力技術者といった立場で業務を行っています。
技術協力者とはいっても、構造屋にとってデザイナーは、仕事のクライアントであり、かつリピーターになりうる大事なお客といった一面があり、多少のわがままを言われても、苦笑いしながら無理難題をこなしていきます。


さすがに、あまり無理ばかり言われていると、構造屋もイジケテしまって思うように仕事をしてくれなくなるかもしれません。
「設計料だっていつも安いのに、変更ばっかしやがって!」
あっ・・・私でないですよ・・・。知り合いの構造屋さんの言葉です。
さて、こんな事にならないようにデザイナーも色々と気を使うでしょう。構造屋さんは、頑固者というか、本音でなんでも話したがらない職人気質の方もいますし。
「あの構造屋は、何を考えてるか、さっぱりわからん・・・」
なんて事になっては大変です。デザイナーと構造設計者のコミュニケーションは大事です。コミュニケーションが出来ているからこそ、無理も言えるってもんです。
私がよく一緒に仕事をするデザイナーで、よく無理を言う人がいます。
普通に設計すれば納期に2週間程はかかる建物を
「なんとか1週間で納品してくれないか」と言われたり、時にはあきらかに構造的に無理をしている場合でも「ここはどうしても変更できないんだ、なんとか頼むよ」
彼にも事情やこだわりがあっての事と思い、なるべく希望に添えるように努力するのですが、毎回毎回では、やはりあまり気分のいいものではありません。
まして、そう言う無理難題をあたかも当たり前のように押し付けられれば「いい仕事をしよう」と言う気持ちも半減しかねません。
しかし、そんな構造屋の機嫌を直して、仕事にやりがいを感じさせる、心理的な方法を彼は使ってきます。
先日も、ある店舗の設計を依頼され、相変わらず無理を言われやっとの思いで仕事を納めると、彼からは、きまってこんなことを言ってきます。
「いやー無理いって申し訳なかった。でもおかげで面白い建物が出来て評判もよく、予想以上に施主が気に入ってくれたんだよ。構造屋さんにも宜しくっていわれたよ。本当にありがとう。また頼むよ。」
ほんとかどうかは知りませんが、悪い気はしません。いや正直うれしいですよね。
構造屋は現場監理をしない場合、設計が終わると、自分が設計した建物の経過や施主のことを全く知らずに仕事を終えることが少なくありません。
だから、一つの仕事を終えてもデザイナーに比べて感動や喜びと言った
感情が希薄になりがちなんです。
某リフォーム番組みたいに、施主のおばあちゃんに喜びのあまり泣かれるなんて事はありえません。
自分の関わった仕事で喜んでもらえているという声が届いてこないために社会貢献している実感が湧きずらい。つまり、彼はそう言う構造屋の潜在的に満たされない気持ちを付いてくるのです。わかってはいるが、嬉しい・・・
構造屋の仕事をする上でのポジションによる影響ですよね。
仕事をする上で、自分がだれかの役にたっていると実感できる事が、一番仕事のモチベーションをあげます。場合によっては設計料をUPするより効果があります。いやもちろん設計料UPも大歓迎です(笑。
ほんのちょっとした事でも、誰かの役にたっていると感じる事で、人は誰かのためにがんばろうと思ってしまいます。逆に無理を言うばかりでは構造屋もふてくされてしまいます。
私が単に単細胞だからと言う可能性もありますが、この様なことは構造屋だけでなく、全ての人々に通じるものがあると思うのです。
「施主が耐震性能の事を心配してるんだ、なんとか安心してもらえるよう頼むよ」
「お陰様であの建物、評判がいいんだ。新規の引き合いも何本か来てるんだ。又頼むよ」
こんな一言を仕事の最中でも、終わった後でもいいので、施主の声やその建物がどうなったか、構造屋に教えてあげてほしいんです。
それだけで構造屋は、あなたとの仕事にやりがいを感じ、設計料が安くても、彼女とケンカの最中でも、デザイナーと施主のために、又いい仕事をしようと奮闘する事でしょう。たぶん・・・。

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