採用新着情報 2018.03.30

建築構造設計ってどんな仕事?


建築構造設計は、地盤の状況把握から始まり、構造形式(構造システム)・材料の選択、それを裏づける構造計算そして構造図作成、現場監理までを含む幅の広いものです。これらの内容は、経験に基づく工学的判断から時に高度な数学までを必要とし、人々の生活や財産、人命にまで関わる重要な役割を担っています。

それでは具体的に「建築構造設計」についてみていきましょう。

建築構造設計とは

建築を設計するためには幅広い専門領域の知識と技術が必要であるため、現在ではほとんどの建築において、建築設計者(意匠設計)とともに設備設計者や構造設計者が協力して設計を進め、それぞれの専門分野をカバーしています。

まずは、建築設計全体の流れを簡単に説明します。建築設計は下表のように4段階に分けられます。



建築構造設計も、これら「1.基本計画」「2.基本設計」「3.実施設計」「4.工事監理」の各フェーズに合わせて行います

まず、「1.基本計画」フェーズでは、各部屋の用途に応じた床荷重などの構造性能を決定します。



建築構造設計にとって重要な性能の一つは、床(スラブ)の耐荷重です。平面計画の段階で、各部屋の床荷重を大まかに決定します。

これら荷重条件(床荷重)、遮音性、耐震性、耐風性、耐久性、耐火性などの構造性能や、どのような構造形式(構造システム)を採用するかは、設計の重要なポイントです。特に耐震性能は、中小大地震の時について、構造部材や壁、天井、窓ガラスなどへの影響を考慮することが必要です。さらに構造種別として、耐震構造・制振構造・免震構造等があり、性能やコストが大きく違うため、初期設計段階での選択が重要になります。

次に「2.基本設計」フェーズでは、建物の高さ制限、階高、天井高さ、スパン、設備スペースとの干渉など、様々な条件との整合を図りながらどのように骨組を作るか、つまり架構計画を行います。

また、建設予定地の地盤調査結果や過去の地震記録から、建物用途や規模に応じて、どのような基礎にするかを決定するため、地盤調査の方法を調査会社に指示します。その調査結果を分析し、建物を支える地盤の決定、杭基礎等の建物支持方式(基礎形式)、耐震設計方針を策定します。さらに液状化のチェックも必要になります。



そして、「2.基本計画」に基づき「3.実施設計」を行います。全体架構だけでなく、2次部材・外装材など仕上げ材の計画も構造設計者が協力します。さらに構造計算で決めた部材寸法等を施工者に適切に伝えるための構造図を作成します。



構造設計とは、個々の建築に最適な構造形式(構造システム)を提案及び決定し、建築に作用するさまざまな力を理解し、その力によって骨組みにどのような状態が生じるかを把握して、要求された安全性を確保することです。

そのため構造設計の様々な局面で、経験を積んだ構造設計者の判断が必要となります。多くの条件をバランスよく取り入れ、安全性に配慮した骨組みを設計するのが構造設計者の役割です。コンピュータを利用した構造計算は安全性確認の一役を担うに過ぎません。

最後に設計者は、鉄筋や鉄骨等が設計者の意図どおりに製作・施工されているかを「4.工事監理」する業務があります。



近年、現場監理が適切に機能していない実態が明らかになっているとの指摘があります。また、監理が適切に行われていれば防ぐことができたと思われる欠陥住宅などの被害も多くあります。モノづくりの観点からは、設計した内容が現場でどうつくり込まれていくか、その生産体制を理解し、その内容を設計に反映させるとともに、監理によって確認することもまた肝要です。

特に構造に関わる施工ミスは後から修繕するのは容易ではなく、建築物の安全性に深刻な影響を及ぼす可能性があります。こうした事態を防ぐためには、構造を含めた建築全般に関する幅広い知識をもった技術者(例えば構造一級建築士)が、細心の注意を払って監理業務を実施する必要があります。

まとめ

建築構造設計は、設計者と構造設計者双方の信頼関係が必要です。建物が完成するのは依頼(契約)の後、1、2年先と長く、一度お互いに不信感が生じると、決してよい建物はできません。また、安全性等に問題がある設計にならないよう課題を指摘し、よい方向にもっていくべく粘り強さが必要とされています。

以上、簡単に建築構造設計の流れをまとめると以下になります。



このように構造設計者の活動は多岐にわたり、建築主や発注者の要望を把握し、建築設計者や設備設計者と協働し、さらに現場施工にも関与(監理)して品質確保に責任を持ちます。

さくら構造(株)は、
構造技術者在籍数日本国内TOP3を誇り、
超高層、免制震技術を保有する全国対応可能な
数少ない構造設計事務所である。
構造実績はすでに5000案件を超え、
近年「耐震性」と「経済性」を両立させた
構造躯体最適化SVシステム工法を続々と開発し、
ゼロコスト高耐震建築の普及に取り組んでいる。