小林 玄彦−HARUHIKO KOBAYASHI−
顧客に迷惑をかける寸前までいった時、
自分にとって足りなかったものに気づき、
助けてくれる仲間がいることを実感しました。
おかげでチャレンジ精神を失わず
仕事に取り組めています。
1983年生まれ北海道出身。
大学卒業後、地元の少数精鋭の構造事務所を経て、2009年6月中途入社。
前職の経験から入社当初より設計担当として多くのP Jを担当。
入社面接で「使い物にならなかったら給与は入りません」と言った逸話をもつ。
現在は社内エンターテイメントの監督として手腕を発揮している。趣味は料理。
現在は、店舗などの商業施設や、中高層のマンション、学校施設等、比較的規模の大きめの建物の構造設計を中心に担当させてもらっています。入社してからは、累計で50棟以上 の設計を担当しています。 最近では、月に1~2棟くらいの物件を担当していますが、結婚を機に、あまり残業せずに帰る事を目標に自分のペースで仕事が出来ており、家族に食事を作る時間もあるので、とても、ありがたいです。仕事量や物件については、ある程度会社が配慮してくれるので、プライベートの状況によっては、将来もっと仕事量を増やしたり、今まで経験した事のない構造の物件を担当できるよう、お願いする事があるかもしれません。
さくら構造に入社して、次のような事が実現できました。
前職では、顧客と直接対話をする機会が少なく、上司の指示でたんたんと業務を行う仕事のやり方が主流でした。しかし、さくら構造に来てからは、顧客対応を自らが行うことになり、非常に難く、たいへんではありますが、逆にそこが自分のやりがいに直結してると感じるようになりました。
具体的なエピソードをひとつ上げると、あるとき、さくら構造で受ける仕事の規模では小さい建物(RC平屋)の設計をした際に、お客様から、「今回の建物は構造計算書の確認申請添付が義務図けられていない4号建築物にあたります。 私が構造に詳しくないのと、申請時の役所やセンターのチェックが無く、第三者的な確認が出来ませんので、小林さんの確認が頼みの綱です。小さい建物ではありますが、施主さんと私どもの願いがかかっている建物の一つですので、どうか、よろしくお願いいたします。」と言われた事があります。
とてもうれしかったのと同時に、どんなに小さい建物でも建設費は数千万以上になり、その責任を任されることの重みを知り、身が引き締まると同時に、構造設計という分野においてお客様から頼られることの喜び、やりがいも感じる事ができるようになりました。
前職は、ひとつの物件を複数人で行う体制でしたが、このやり方だと、他の仲間が事務所に残っていると、帰る訳にもいきませんし、自分が終わっても終わっていない人の担当分を手伝う等しなければいけませんでした。
しかも、その案件を統括しているのは上司ですから、私には工程を決める権限もありませんでした。
しかし、さくら構造では顧客対応から計算まで原則一人でやりきる体制です。
自分にスキルがあれば顧客や仲間に迷惑がかからない範囲で、早く終わらせて帰る事もできますし、工程管理も顧客との対話で自らが行えます。
この体制になってから、自分の時間が上手く作れるようになり、家族との時間を増やすことができました。
早く帰るとは言っても、以前よりも担当している仕事量は逆に増えていますので、自分の成長も感じています。
さくら構造は、一般的な構造事務所にくらべ社員数が多く(現在40名)、年齢の近い仲間との交流もあり、以前よりとても楽しく仕事をしています。
夏は一緒に海に行く事もありますし、有志による飲み会もあります。
仲間が彼女に振られたとなれば「社員に彼女作る会」が立ち上がり、社長みずから婚活支援までやった事もありました。
最近ではさくら構造の社員総会「5.31村岡学習会」のエンターテイメント係として、2次会の総合プロデュースを担当し、余興の演出から、会社の歴史のスライドショーの作成・社員ビデオレターの構成・撮影・編集までやらされました。
まるで大学の学園祭のような状況で、睡眠時間を削って社長や村岡さんと一緒に取り組みました。
はっきり言ってホント大変でしたが、私にとっては、性格上、この大変さが心地いいのです。
いままでの構造事務所では、絶対味わえない感覚だと思いますし、社会人になってもこういう気持ちで仲間とちょっと人と違う事が出来るのは、さくら構造ならではだと思います。
ちょうど、さくら構造に入社した頃、つき合っていた人がいたのですが、なんとなく将来の事も考えだしていた時期でした。転職の事も伝えていて彼女からも前向きに応援してもらっていました。
結婚を真剣に考えるとなれば、まずは、私が構造技術者として成長できる環境にあるか?が大切だと思いましたし、また、勤めている会社が今後安定的に成長し継続していけるだけの期待をもてる企業であるかどうかも気になる部分でした。
実際に働いてみて、自分に対する自信が以前よりつき、会社に対しても「これなら大丈夫!」と思えたので、結婚を決意する事ができました。
社員は中途採用者が多く、その出身は多岐わたっています。意匠出身、施工管理出身、組織事務所の構造部出身、ゼネコンの構造部出身など、いろいろなメンバーがいて、それぞれの社員が持っている知見もさまざまです。
建築構造というのは、経験工学と言われ、経験から得られる情報が非常に重要です。そういう意味でも、いろいろな人種の経験者がいる事で、幅広い知識を吸収する事ができ、構造に対する理解が、以前より深まったと思います。
少人数の構造事務所では、絶対に得られなかったメリットです。
これは、かなりの部分は社長の事ですが、あの人をシンプルに説明すると「熱い人」「おもしろい人」という感じです。
入社間もない頃、夜になると、構造に対する思いや、大切にすべき事などを、よく話してくれました。よくも、構造にこれだけ熱く話せるなと驚いたと同時に、非常にいい影響を受けました。
去年の5.31の社員総会の時に、社長が「エンジニアリングシップ」というさくら構造の「こころざし」の様なものを発表しれくれましたが、私は、昔からあの話をずっと聞かされてきました。
そして「エンジニアリングシップ」にあるような価値観は構造設計の中だけの話ではなく、人生全ての場面で使える、生き方そのものの考え方が多く含まれています。そんな話をしてくれる人生の先輩がいる事は、私にとってとても大切な事です。
さくら構造は、よっぽど大きな物件や、棟数がある場合は別として、1案件を一人で計算する体制になっています(CADは別です)。
しかし施主は発注者の都合により、急な設計条件の変更などで、一人では対応しきれない場面がでる事があります。その様な時に、だれもヘルプしてくれないとなると、恐くて工程の短い仕事を担当する事などできません。
さくら構造では一人で対応するのが難しくなった場合は、上司にギブアップ宣言すれば、助けてくれます。
もちろん、だらだら仕事して自分のせいで対応できず「助けてくれ」などと言っても「甘えるな」という話しですが、やむを得ない理由により対応が困難になった場合は組織の力で乗り切る事ができます。このため「自分にはちょっと荷が重いかな」という仕事でも、恐れる事なく挑戦できるので、自分の成長を早める事ができたと思います。
前職とあきらかに違ったのが、社員に対する報酬分配の考え方、評価の仕方だと思います。
前職は年功制で安定はしているのですが、自分の何が評価されているのか、されていないのか、よくわからないのと、どれだけがんばっても、がんばらなくても給与は変化しない事に、物足りなさを感じていました。
さくら構造の報酬分配の考え方の基本に「同じ価値の仕事を同じ量やると、同じ報酬になる」というのがあります。
別の言い方をすると、働いた時間に対して報酬を支払うのではなく、生み出した価値(業務量)に対して報酬を払うという考え方です。この考え方での評価は、社会に対してどれだけの価値を自分が提供したかを振り返る事もできますので、私自信モチベーションがあがりましたし、その考え方に共感しています。
前職も同じ構造事務所ですので、仕事の色は多少違いますが、やってる事は基本同じです。
また前職の給与面や待遇にも不満はありませんでしたし、構造設計も嫌だった訳ではありませんし、人間関係も悪くありませんでした。
でも入社してから2年が経ち、何かが足りないと感じるようになりました。そんなおりに、さくら構造のホームページや田中社長のブログ見たのです。
その時は「へーこんな構造事務所もあるんだ」と自分の事務所との違いをとても感じました。自分は新卒で以前の構造事務所に勤めましたので、その事務所しか知りませんでし、どこも似たようなもんだと思っていたのですが、その感覚の違いに非常に興味を惹かれました。
さくら構造を知って、1年くらい経った頃、自分が足りないと感じているものが、精神的な充実感や、やりがいの様なものだと気づくようになりました。そして今の自分を変えたい気持ちが大きくなり、さくら構造の採用に応募することを決めました。当時は、さくら構造に行けば、その問題が改善される確信があったわけではありませんが、今の気持ちのままでいるよりも行動した方がいいと決断し、思い切って飛び込んでみる事にしたのです。
どうしてもさくら構造の仲間になりたかった事もあり、面接の時、田中社長に「自分が使えなかったら給料はいりません」ともいいました。田中社長は少し驚いていましたが、そのかいがあってか、無事「採用」が決まり、後日採用通知をメールでもらって今に至ります。ちなみにですが、お給料は普通にもらえました(笑)
はい、心配は3つありました。
一つが、今までの自分の経験が新しい職場で通用するのか?自分は経験者として入社しましたので、当然会社も期待していると思いましたし、はたして、それにに応えられるのか?という不安がありました。実際働いてみて、やはり最初は付いていくのが大変でしたが、周りの支援が予想以上にあり、この心配は乗り切れました。
もう一つは、自分が一番重視している転職理由に関係する事ですが、精神的な充実感や、やりがいを本当に感じる事ができる環境なのか?という事です。さくら構造は、当時の構造事務所には珍しく、かなり意識的にWEBサイトなどで情報発信を行っていたので、他の事務所に比べると、外からどんな会社なのか、ある程度、想像する事ができますが、実際にはやはり勤めてみないと細かい事まではわからないものです。
しかし、上記の問題は、結局入社して働いてみないとよくわからない事ですし、悩んでいても自分のやりたい事がいつまでも出来ないので、まずは思い切って飛び込んでみる事にしました。実際に飛び込んでわかりましたが、自分が前職で求めていた「やりがい」を感じる事ができ、現在では日々充実して仕事ができています。いまとなっては、余計な心配だったなと思います。
最後に、自分がさくら構造に上手くなじめるか、他の仲間が受け入れてくれるかというのも気になりました。最初はとにかく目の前の仕事に必死で、周りが自分の事をどう受け止めてくれているか、感じる余裕もありませんでしたが、あるとき私が「自分はさくら構造に、いまいちなじめてないのでは?」と仲間に言った事があるのですが、先輩からは「お前が一番なじんでるだろ!」と言われ、みんなで笑った時、自分が仲間として受け入れられているんだと感じる事ができました。
実際に入社してみて、驚きの連続でした。
たくさんありすぎるので、ここでは特に感じた事のみお話しますが、まず驚いたのが、社員の成長スピードの速さです。私は年齢的には若かったとはいえ、3年ほど構造設計の実務経験を積んできました。さくら構造では、実務経験が1年程度なのにも関わらず、私と同じかそれ以上で、設計をしっかりやっているのです。この時は私の3年はなんだったのか?と正直反省し、みんなについて行こうと必死に努力したのを憶えています。
当時は、なぜあれ程急激に、社員が成長できたの不思議でしたが、今はわかります。最大の理由は「私の前職とは根本的に仕事の進め方が違う事です」さくら構造は一つの案件は窓口も設計も一人でやりきるのが原則ですが、前職では、ひとつの仕事を分業でやるケースが多かったのです。常に上司が窓口をやり、自分たちはその下で手を動かすだけの係です。つねに上司の指示で作業を行うため、顧客と対話し顧客が何を望んでいるか?自分は何をすべきか?を考える様な事は皆無でしたし、何か問題が生じても自分のところにはその問題は降りてくる事はありません。上司が問題を解決し、自分は作業をするだけです。実はここに大きな差が生まれる事に後から気づきました。
何か仕事をする時は常に人との関わりがあり、発注者や施主の思い、大切にしている事を感じる事が重要です。顧客対応を直接行い一人で最後までやりきる。その過程の中で、自分自身も責任感つまり絶対に迷惑はかけられない、期待に応えなければいけないという感情が沸きだしてきます。この緊張感の中で最後までやりきった時の成功体験は、同じ仕事であるにもかかわらず、前職のそれとはあきらかに違いました。この緊張感、達成感が前職にはなく、さくら構造にあった大きな違いであり、人の成長スピードに大きく影響しているのだと思います。
それ以外にも、設計チェック指摘内容が今までと全く違う事も感じました。
仕事を一人でやりきると言っても、組織として放置する訳ではありませんので、初期計画や設計内容のチェックが必ず入り、当時は社長がやっていました。その時のチェック内容が今まで自分が考えもしない事が多数ありました。特に施主や発注者目線からの指摘について、質問されても答えられない事があり「質問されて答えられない設計をするな」と厳しく怒られる事もありましたが、非常に勉強になりました。こういった技術指導の違いも社員の成長に影響していると思います。
一度ありました。入社して半年くらいした頃に、顧客との意思疎通が上手く図れず、また私の経験不足で、工程を大幅に遅らせる事態に陥りました。
状況を社長に説明し「何やってんだ!」と怒られましたが、瞬時に終わる工程と人員体制を整えてくれました。
おかげで、何とか最悪の事態は回避されましたが、あの時は生きたここちがしませんでした・・・。
はい、その時の経験はとても役にたっています。
あの時学んだのは、顧客との意志疎通がいかに大切かという事です。顧客は、私たちへの期待をはっきり言わない事が多いですし、設計に対する指示もあいまいであったりする事も良くあります。そんな時でも私たちは顧客との対話によって、相手が期待している事を引きだしたり、先読みするなどして理解し、その思いを設計や工程の中に取り込んでいく事が求められます。そして、それがしっかりと出来ないがために、この様な事態になってしまったと思い、あらためて、意思疎通の大切さを認識する事が出来ました。
もう一つは、いざとなったら、助けてくれる、とてつもない技術者が仲間にいるという安心感です。
社長に相談し、工程通り終わる人員体制を組んでもらったと言いましたが、当時の私は本当にこの体制で終わるのか不安でした。おそらく二人でやっても数日かかるだろう作業を、ある先輩が一人で半日でやらなければ終わらない業務分担になってしまっていたからです。
ところがその先輩は本当に半日で終わらせてしまいました。その先輩はエクセルである計算をしてくれたのですが、そのエクセルは見たことも無い関数で、はっきり言って何をしてるか理解できませんでした。さらにチャートというソフトに応力をコンバートし大量の断面算定を瞬時に終わらせてもくれました。まさに神の手を見てるようでした。
普段は各自が責任を持ち、最後まで一人でやりきる体制でありながら、本当に困った時は、神の手をもつ仲間たちが助けてくれる。また瞬時にそういう体制を作りだす事ができる組織である事を”生きたここち”と引き替えに知る事ができました(笑)。この経験があったからこそ、今でもチャレンジ精神を失わずに、自分ができる少し上の仕事に、安心して挑戦し続ける事が出来るようになったと思います。
さくら構造は、仕事だけでなく、仕事以外の個人的な自己実現目標を持つことを推奨し、会社としてそれを支援する事を、管理職に義務づけています。人によって様々ありますが、クルマが欲しい、家を建てたい、嫁が欲しいなど一見すると全く仕事と関係のないと思うような目標です。
普通では考えられない事かもしれませんが、社内評価項目の中には、自分の個人的な自己実現目標を達成すると評価があがるようにまでなっています。これは会社が社員を重視し、私たちがやりたい事ができる支援をしていこうとする姿勢の表れなのだと思います。
すなわち、個人の個性や価値観を尊重し、社員のいいところをのばしてくれる、そんな会社がさくら構造なのかな、という印象を持っています。
私自信は現在、構造設計だけでなく若手の教育や会社のイベントへの協力など、会社の仕事に貢献すると同時に自己目標である家族との時間の確保を両立することができており、非常に有意義な時間を過ごさせてもらっています。
さくら構造は一言で言うと「感情を感じる会社」だと思います。
普通の構造事務所のように無感情でたんたんと業務をこなすのではなく、常に人の感情を思いながら仕事をしています。
私たちの仕事は、数字を扱いますが、それは人々がやりたい事を実現するためのひとつのツールにすぎません。構造設計の背景には、常に人の思いがあって、それを形にしていく仕事だと思っています。
さくら構造に、これからやって来る未来の仲間には、そういう思いをもって来ていただく事を期待しています。
これからは、今まで以上に、顧客に感謝され喜んでもらえる技術者になる事を目標に仕事をしたいと思っています。
また、自分でなければ出来ない、自分にやってほしいと思われる存在になれるよう努力していきます。会社に望む事は20年後も笑って仕事ができる会社であってほしいという事です。そして、これからも今まで同様成長していってほしいと思っています。
私は、ずっと、さくら構造の一員として中から見ていますが、さくら構造なら、それが出来ると信じています。
取材日 2012.09