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2010-10-25

“2”

2のイメージ画像
2のイメージ画像

 

さかのぼる事15年と少し、私はとある構造設計事務所に入所した。
2DKのマンションを間借りした3人の小さな設計事務所だ。
学校を卒業したばかりで右も左もわからないまま初出勤の日を迎えることとなる。
私に与えられたのは6畳間に並べられた机の内の1つと電卓と平行定規であった。
普通のマンションの一室で働いてゆくことに若干の驚きがあったが、そんなものかとも思った。
その朝命じられたのは不要な青焼き図面をA4サイズに切断し、裏側に縦線を10ミリ間隔、横線を8ミリ・2ミリ・8ミリ・2ミリと用紙一杯の長さで繰り返すことである。
格子状に線分を描き終わると、用紙下半分の格子の1つ1つに / / / / / / / / / / と75°の線分を記入して行く。
これで準備完了、そこに0~9とA~Zを書き込んで行く。
そう、文字の練習である。

0123456789 0123456789
0123456789 0123456789

ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ
ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ

abcdefghijklmnopqrstuvwxyz
abcdefghijklmnopqrstuvwxyz

0123456789 0123456789

0123456789 0123456789


ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ
ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ

abcdefghijklmnopqrstuvwxyz
abcdefghijklmnopqrstuvwxyz

出勤すると、用紙の切断から始まり線分を描き数字とアルファベットを書き込んで行く。
用紙を作り溜めすることは禁じられており、毎朝毎朝同じ事を繰り返すこととなる。
所長がOKを出すまで続けろと言われ気が遠くなった。
しかし、一見つまらない事でも意味があるようで、続けていくうちに様々な事が上達し、様々なことに気がつくようになって行く。
最初に気がついたことは、うまく書けない数字が存在するということである。
何度書いても納得のいく数字が書けない。
私にとってその数字とは“2”だ。
“2”は、鉛筆を紙に置き、右にカーブして行き、カーブが終わって左下へ下ろし、右へ直線を引く。
この動作で書いて行くと思うが、毎朝毎朝書いても納得が行かない。
今朝はカーブの部分に気をつけよう、今朝は鉛筆のスピードを変えてみようと試行錯誤を繰り返していた。
そんなある日、いつものように「2」を書いていると、「なんかこれいい!」と言う感覚を得ることができた。
しっくり来るのである。

最初のころは右カーブを書き、そのまま緩い右カーブが続き、直線へ連続していた。

この状態では何度書いても納得することができず、ただ闇雲に繰り返し“2”を書いていただけだった。
次の段階では右カーブが終わったあと、不自然なくらいに逆のカーブを描くことを思いついた。
これは活字の字体などで見受けられたため、試してみようと思ったのである。

このころになると工夫が必要なことに気付き、右カーブ部分や書くスピードなどを調整し毎日違う“2”を書くようになっていた。
その結果、右カーブ後に逆のカーブを描くことを思いつき、しっくりくる“2”を見出すことにつながって行く。
最終的には右カーブがおわったあと、鉛筆を一旦止め、一気に左下へ直線を引き下ろすことにした。
その際、心持ち逆カーブを意識するときれいな直線を引き下ろすことができる。

既出の逆カーブの“2”で会心の“2”が書けたときはもうこれが最終形だと確信を持ったものだったが、どうしても書くスピードが上がらない。
右カーブから逆カーブへの切り返し部分と、逆カーブを意識しすぎることがスピードの上がらない要因らしい。
そこで、いっそのこと切り返し部分で鉛筆を止めてしまおうと思いついたのである。
その結果、カーブとカーブの連続性を断ち切ることで、切り返し部分を無くすことに成功した。
さらに、鉛筆を止めたことによるスピード低下及び、逆カーブによるスピード低下を防ぐため、一気に左下へ直線を引き下ろすことにした。
繰り返すが心持ち逆カーブを意識することが重要である。
この方法は非常に優れていた。
一定以上のスピードを保ちながら、しっくり来る“2”を量産できるのである。
“2”を書くのが楽しくなり、字の練習が苦ではなくなった。
このことは喜びであった。
苦手を1つ克服したのであるから、喜びは相当である。
しかし、それ以上に“2”にこだわり続けてよかった。
入社して初めて何かをやり遂げたのだから。
私の始めての実績は“2”だ。


東京設計室長 木下光司

2007-11-01

構造設計者求人募集

さくら構造スタッフの画像
さくら構造スタッフの画像

 

仕事の依頼が非常に増えており、スタッフを募集する事にいたしました。
私の考え方や価値観はこのブログでかなり理解していただけると思います。
私も完璧な人間ではありませんので、共感して頂ける方と一緒に仕事がしたいと考えております。
詳しい内容はこちら→構造設計技術者求人採用でご確認ください

2005-07-24

クールビズ

クールビズ画像
クールビズ画像

クールビズ

役人の方たちが、やってるクールビズ。
いまいち普及してないように感じますが、あなたの周りはどーですか?
理由を考えると、

  • スーツ+ネクタイはビジネスマンの制服であり、
    礼儀だと感じている人が多いので、
    採用できない。
  • ネクタイを外すとだらしない、
    ただのおやじに見えてしまう。
  • 着る服を選ぶのがたいへん。

 

といろいろありますが、一歩間違うと、ホントにだらしなくなるので注意が必要です。
某総務大臣は、胸がはだけすぎで胸からゴールドのネックレスが見えているのはいかがな物かと・・・

2005-07-18

建築設計におけるインターネット(IT)利用

パソコン操作風景の画像
パソコン操作風景の画像

建築設計におけるインターネット(IT)利用

建築業界にもインターネットを使って仕事をする時代になってきました。
私がこの業界に入り立ての頃は、パソコンに触れたこともなく、もちろんインターネットが何物なのかまったくわからない状態でした・・・
ところが今はパソコンがネットにつながってないと仕事になりません。

メールのやりとりに始まり、建築設計の成果物をデジタル納品したり。
あるいは、設計における調べ物に、色々な検索サイトを利用したりしていると思います。
「建築設計におけるインターネット(IT)の利用」というテーマは範囲が広くて1回では紹介し切れませんので、今回は検索サイトの利用について簡単に紹介しておきます。
私の場合、仕事でわからない事があったらまず最初にgoogle先生に聞いてみます。
google先生はこちら→http://www.google.co.jp/
これで思うような情報を入手できない時は、たまにyahooも
http://www.yahoo.co.jp/
googleとは検索結果が全然違います。
それでもだめならAll About Japan
http://allabout.co.jp/
それでもだめなら 教えて!goo
http://oshiete.goo.ne.jp/ と検索していくのですが、自分が入手しようとしている情報があると思われる個別のサイト内で検索する事が出来れば検索効率は高まります。
このサイトはいい!と思ったらとりあえずお気に入りにいれておいて、そこから探すと言うのも手です。
普段から検索のスキルを上げておくと、情報の入手がしやすくなります。
これは建築の仕事上だけでなく日常でも普通に使えます。
例えば、病院からもらった薬の効果や副作用を調べたり、気に入った女性とのデートの場所を探したり、本を読んでいて意味がわからない英語を翻訳したり、家電製品の最安値を調べたりと、調べられない事がないため「人生の百科事典」とかいってる人もいます。
検索はなれるまでちょっと大変ですがなれれば簡単です。
パソコンが苦手な方もぜひトライしてみてください。
最後にこんなサイトを紹介しておきます。検索デスクです。
http://www.searchdesk.com/ 上記で紹介した検索サイト以外にも各情報の種別によって検索先を変更した方がいい場合があります。
このサイトにはそういった多種の検索サイトが一覧になっていて、調べる内容により検索先を手動で変更する事ができます。
一度おためしを。
ちなみに私の最近のTOPページはこれです。

2005-06-08

建築構造技術者(構造屋?構造家?構造士?)の存在

さくら構造の勉強会風景の画像
さくら構造の勉強会風景の画像

建築構造技術者
(構造屋?構造家?構造士?)
の存在

私の仕事内容を説明する時「建築の設計」だと説明すると全員が建築家(デザイナー)を思い浮かべます。
最近、説明するのが面倒な時は、それ以上説明しなくなってきた・・・
構造を専門にしている私自身も、学生時代は「構造屋?
何それ?」といった感じでしたし。

考えてみると、そもそも我々は建主さんと一緒に仕事をする機会が少ないです。
積極的にアプローチする構造技術者も非常に少ない。
構造技術者が建主さんに直接かつ積極的に構造に関わる技術サポートをしない理由を考えてみると、
「我々が構造以外の対応が出来ないから」
これは事実でして、建主さんは構造以外の事も対応してもらいたい訳ですから、僕らでは役者不足・・・と構造屋自身が思っているからです。
でも、それは意匠屋さんも同じなんですけどね。
「建主が、建築設計が意匠・構造・設備と分かれている事自体しらない」
骨が折れた時、内科に駆け込む人はいないと思います。
それは同じ医師でも、それぞれ専門がある事を知ってるから。
当然整形外科に行く訳です。
でも建築の設計は専門がある事を意外と知らないんですよね。
一般の建主さんに、もっと業界の事を知り、勉強してもらって、私たちの存在が一般的になると、悪徳業者も減って、今より良い建物がたくさん出来るのではないかと思っていますが、そういう日がはたしてくるのか?