沖縄県宜野湾市 チームアルファ 代表取締役 所長 与那覇政人氏(写真中央)に、さくら構造と取引を開始した経緯と評価について詳しく聞きました。
沖縄県内の建築物全般の設計を手がけている設計事務所。特に分譲マンションに強み。社員数6名。設立1996年。「自社に関わる全ての人を幸せに」という企業理念のもと、デベロッパーなどクライアント、建築物に住む人、そして取引先など、自社が関わる全ての会社、人が満足できる仕事を行うことが目標。
さくら構造には、構造設計一級建築士の資格を要する計算など、ある程度ボリュームがあって難易度も高い案件を依頼しています。最近は、沖縄でも、そういう仕事が増えているので、さくら構造への依頼件数は特に増えています。最初に仕事を頼んだのは3年前の2008年。以来、約10件の構造計算を依頼しています。
さくら構造と取引を始めたことで、次のようなメリットが得られました。
さくら構造と取引を始めたことで、次のようなメリットが得られました。
建築関係者には周知のとおり、今から5年前の2006年頃に、姉歯事件の影響で、建築許可の審査が厳格化され、その分、耐震構造計算に要する工数と期間が増大しました。これに伴い、沖縄県内では、構造計算が供給不足となり、その分、納期が延び、また価格も高騰しました(現在は、また価格も徐々に低下してきましたが)。
このことが契機となって、チームアルファは、県外の構造計算事務所である、さくら構造と取引を開始することになったわけです。
さくら構造は、構造計算事務所には珍しく、30人以上の技術者を有しており(※1)、標準的な構造計算から、時刻歴応答解析など高度な技術を要する計算まで、常に、一定品質で安定供給してくれます。高品質の構造計算事務所は沖縄県内にもありますが、「多くの技術者を抱えている、安定供給が可能な事務所」は、やはり探すのが難しい。
また価格も、見積制ではなく、「単位面積あたりいくら」という定価制であることも助かります(※2)。さくら構造とつきあうことにより、繁忙期と通常期とを問わず、高品質の構造計算を、一定価格で、安定確保できるようになりました。
※1:2011年12月現在
※2:原則定価制だが、案件によっては見積制
分譲マンション物件の場合、建物が予定時期までに完成しないと、デベロッパーの販売計画や、入居者の居住計画に、悪影響が生じます。
そのようなことが起きないよう、建築事務所としては、納期通りに設計を終える必要がありますが、先に述べたような構造計算の外注先が安定確保できない状況が常態化すると、納期遵守が難しくなります。
しかし、さくら構造と取引を開始してからはそのような心配はなくなりました。
構造計算の安定確保が難しい場合、設計業務全体のスケジュールが組みにくくなります。
平たく言えば、納期通りに終えられるかどうか、いつもハラハラしていなければなりません。
しかし現在は、構造計算の終了時期や、審査の完了時期を、ほぼ安定して見積もれるようになり、繁忙期であっても、設計全体のスケジュールが組みやすくなりました。
今は、構造計算のことはパートナーであるさくら構造に任せるという体制になっています。
その分、私たちは、より住みやすく、より美しい建物の設計という、本来の業務に専念できるようになりました。
チームアルファに、「繁忙期でも構造計算が安定確保できる → 納期が確実に守れる」という体制が確立したということは、私たちの直接顧客であるデベロッパーなど施主の視点から見れば、「あの設計事務所なら、繁忙期でも、納期どおりに仕事をしてくれる。安心して頼める」ということになります。
さくら構造というパートナーを得たことで、チームアルファの顧客価値、企業価値が向上しました。
供給不足時に構造計算の価格が高騰するという状況が起きた場合、設計事務所としては、その高騰分を設計料に転嫁することはできないので、その分、自社の利益を削ることになります。
現在は、そのような事態に陥る心配はなくなりました。
これは、さくら構造が見積制ではなく原則定価制を取っていることから来る効果です。
先ほども述べた、県内で構造計算の供給不足が生じて、困っていた5年前の頃に、ちょうど、さくら構造の田中社長が、ウチの事務所に営業にいらっしゃいました。
まずはしばらく話を聞いたのですが、田中さんは、 席に座った時の印象がとても良かったのです。
言葉のはしばしからも、自分の仕事に対して、真摯に取り組んでいる印象が窺え、好感が持てました。
また、私たちクライアントだけでなく、デベロッパーや居住者など、建築に関係する全ての人に対する気配り、思いも感じられました。
しかし、いくら好印象だったとはいえ、本当のことをいえば、仕事は基本的には、顔が見えて、人間関係が築きやすい沖縄県内の業者に依頼したいわけです。
ですから、さくら構造を本当に外注先にして良いかどうかは、ふだん以上に厳しい基準(判断のモノサシ)をもって、よく考えました。
さくら構造へ発注するかしないかは、次のような判断基準で考えました。
懸念は、やはり、ありました。
第一に「さくら構造の技術者がいる北海道や東京都と、沖縄との距離」です(※)。
沖縄県内の事務所と仕事をする分には、ダイレクトに会って、机の上に図面を広げてそれを一緒に見ながら打ち合わせができるわけです。
場合によっては一緒に現場に行くことも可能です。
しかし、北海道や東京の技術者とでは、それはできません。
構造計算は、設計図面を見て行うものなので、建築現場から離れた遠方でもできることは確かです。
しかし、それを頭で分かっていても、やはり実感上の問題として、本当に上手くいくだろうかと懸念はありました。
第二に「実際の仕事をやるのは田中社長ではなくスタッフである」ということも気になりました。
田中さんの人柄は会って確認できました。しかし、スタッフの人とは会っていないわけです。
コミュニケーションは、顔を合わせず、電話とメールだけで行うことになります。
今までの仕事のやり方とはちがうので、やはり戸惑いはありました。
とはいえ、思い悩んでいても仕方がないし、実際のことはやってみないとわからないので、まずは軽めの仕事を一つ、依頼してみることにしました。
あえていうならば、「面接はOKだったので、次は実地試験」というイメージです。
※さくら構造の沖縄事務所は、営業所です。
構造計算書の提出は、納期通りでした。審査機関とのやりとりもスムーズに進み、予定通りに終わりました。
弊社の設計者と、さくら構造の技術者との遠隔コミュニケーションも思ったよりスムーズに進み、当初の不安が杞憂であったことがわかりました。
実地試験の評価は「マル」「合格」。
さくら構造には、引き続き、仕事を依頼することになりました。
以来、3年間、冒頭に述べたとおり、様々な仕事を依頼している次第です。
一度だけありました。
さくら構造の技術者の方で、構造計算の技術はまったく問題ない、いやむしろ水準以上に素晴らしい方がいたのですが、あまりに優秀すぎるせいのなのか、デベロッパーや居住者の立場を考慮して、お客さま本位で仕事をしていくという、そのマインドの点で、若干、物足りない点があり、コミュニケーションが上手くいかないことがあったのです。
この時ばかりは、「顔を見合わせての仕事なら、こんなことは起こらないのになあ」と思いました。
田中社長に相談しました。
その後、田中社長からは、人の交代を含む、もろもろの対処がありました。
単純な話ですが、「人の交代」が可能というのは、やはり技術者が多数いる設計事務所とつきあう利点です。
コミュニケーションの問題は、究極のところ「良い・悪い」ではなく、「馬が合う・合わない」というレベルの話です。
だから、これからも問題は生じるかもしれません。
しかし、そんなときでも、スムーズに人の交代がなされるのであれば、チームアルファもさくら構造も互いに気がラクであり、気持ちよく仕事ができると思いますから。
この時は、田中社長が問題を解決するために真摯に動いてくれたので、私は、いっそうの信頼感を感じました。
まず技術力、応需能力、価格、対応などは、当初の期待通り、高品質です。
これからも、この調子でお願いいたします。
「つきあってみて分かった良さ」という点では、先ほども述べた「田中社長の、会社を良くしていこうという意思」「改善していく姿勢」が最も心強い点です。
最近は、田中社長のメールには、末尾に必ず「お客様問題解決推進室」への連絡先が記載されており、その連絡先は、田中社長に直通になっています。
このような「社長ホットライン」を用意していることにも田中社長の事業への想いを感じます。
(さくら構造 代表 田中・談):
先ほど与那覇様から指摘のあったコミュニケーション上の問題は、社長の私にはなかなか報告されてきません。
しかし、遠隔で仕事をする場合、コミュニケーションの品質は、きわめて重要です。
ですから、この問題は、私が対応し、私が解決していきたいと考えました。お客様と直通の「ホットライン」を設けたのは、そうした理由からです。
また最近は、案件ごとに顧客窓口、管理担当の人員を設け、顧客コミュニケーションを始めとする「さくら構造の仕事品質」を総合的に管理する仕組みを構築しました。
さくら構造では、引きつづき、納品物品質およびコミュニケーション品質を、組織的に担保できるよう、体制を強化していく所存です。
遠隔地の事務所に仕事を頼むのは、最初はお互いが知らないどうしですから警戒心を感じるのも当然ですが、私の経験としては、やってみれば案外、大丈夫なので、その点はあまり心配しなくて良いと思います。
このとおり、沖縄のチームアルファと北海道のさくら構造が、上手くやっているわけですから(笑)
これから仕事を頼もうと考えている皆様には、一度は田中社長と会話をしておくこと、できれば直接会っておくことを強くお薦めいたします。
田中さんの人柄は、会えば分かりますし、将来、何かあっても、田中さんにグチを言えば何とかなりますから(笑)
今回、田中社長、そしてさくら構造の技術者のみなさんとおつきあいを始めたことにより、チームアルファの設計事務所としての価値がさらに向上したことに、まず深く感謝申し上げます。
今後とも、発注者と外注先という関係ではなく、「良きパートナー」として、互いに会社として成長して行ければと考えています。
今後ともよろしくお願いします。
取材日 2011.12
さくら構造(株)は、
構造技術者在籍数日本国内TOP3を誇り、
超高層、免制震技術を保有する全国対応可能な
数少ない構造設計事務所である。
構造実績はすでに5000案件を超え、
近年「耐震性」と「経済性」を両立させた
構造躯体最適化SVシステム工法を続々と開発し、
ゼロコスト高耐震建築の普及に取り組んでいる。