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定額制構造設計KozoWeb 2017.05.29

構造設計は人によって結果が大きく異なる。構造設計を誰かに依頼する時一番大切な事は「誰を信用するか」だと思う。

ビルの街並みの画像
ビルの街並みの画像

 

 

  1. 01構造設計を担当して
    特に大変だなと感じる事。
  2. 02社内レビューとはどんな制度か。
  3. 03室長のチェック後であれば、レビューでの指摘はそれほど無い?
  4. 04実際にレビューで受けた指摘。
  5. 05レビュー経験から学んだ事の
    設計業務への活かし。
  6. 06未来のお客様へメッセージ。
先輩と後輩

学生時代に建築を学んでいると学校の先生からこんな事を言われた記憶があります。
「おい!いいか!建築ってのはな、正解はひとつじゃねーんだ。人によって何が正しいかが変わるのが建築だ。だからいい建物作ろうと思ったら一番大事な事は、どう作るか?ちがーう! 誰に頼むかだ!」

昔すぎて先生の名前は忘れましたが、この話だけは憶えています。
でもこれは意匠の話だとばかり私は思ってきました。さくら構造に入社するまでは・・・。

今日は、そんな話をリアルに体験している玉那覇さんをご紹介しながら構造設計の難しさについて説明してみます。

玉那覇さんは平成生まれの27歳、沖縄県出身で、大学で本州の三重県にそして、北海道にあるさくら構造へと日本の端から端まで渡り、上司にも愛され後輩からも慕われる入社4年目の若手の男性技術者です。
現在、札幌本社に勤務中。

口癖は、「北海道の女子は好きだけど、雪は嫌いだ。」だそうです。

構造設計を担当して特に大変だなと感じる事。

Q「玉那覇さんが構造設計を担当して
特に大変だなと感じる事があれば
教えてください。

ひとつは、単純に体力的なキツさ(時に作業は深夜まで及ぶ)ですね。
でも、それは入社前から知っていたので想定内だし、今は作業に時間がかかるのは自分の力量不足もあるので、効率をあげることで改善していくつもりです。
ただ、今は多くの時間をさいていることが、逆に自分の成長スピードを速めていると感じるので、声がかかれば積極的に設計に取り組んでいくつもりです。

その他には、社内レビュー案件の対応が、猛烈に大変です。
室長チェック以外に、別のベテラン技術者のチェックもあるので、チェック自体が2ステップあって単純にチェック後の手直しが増えてしまい、工程管理がどうしてもキツくなります。

 

社内レビューとはどんな制度か。

Q社内レビューとはどんな制度か
もう少し詳しく教えてください。

社内チェック

さくら構造では、通常のチェックだけでなく、各構造種別や架構に特化したベテランのチェックを2段階で行うことで、経済性や安全性に加えて、発注者側の優先順位の高い要望事項を設計に盛り込むための制度を設けています。

これにより技術者によって色々な考え方や選択肢がある事を理解し、お客様の満足度向上と技術者の育成を実現しているのですが、レビューを受ける側は単純に大変です・・・。

 

室長のチェック後であれば、
レビューでの指摘はそれほど無い?

Q室長のチェック後であれば、
レビューでの指摘はそれほど
無いのではなくてですか?

いえいえ、そんなことはないです。
はっきりいって、めちゃくちゃあります。

僕自身、設計をはじめたころは、設計上の選択肢というかバリエーションは、そんなに多くなくて、「こうやっておけばいいんだ」とか、「こうやらないといけないんだ」くらいに考えていたのですが、社内レビューをやってその考えが完全に覆りました。
同じ建物を設計しているのに、設計者によってこんなにも工学的判断が変わり、判断のバリエーションが非常に多い事に気づかされました。

 

実際にレビューで受けた指摘。

Q実際にレビューで受けた指摘を
教えてもらえますか?

構造設計図

よくあるのは、剛性とか固定度とかの話でしょうか。
剛性とか固定度が変われば応力が変わる事はわかりますよね?
しかも、めちゃくちゃ変わります。5%とかでなくて、3割も4割もすぐ応力が変わります。
建物の形状も荷重も変わらないのに、モデル化ひとつで結果が、がらっと変わる訳です。

しかもそれぞれのモデル化が、どっちが正しいのかあやふやな要素が含まれているから余計に困るのです。
今まで私は一つのモデル化でしか検討して来ませんでした。
しかしレビューではそこを突っ込まれたりします。
すぐに断面見直しです・・・・

このレビューで私が学んだ事は、自分がやってるモデル化は、あくまでも仮定条件であり、実建物とは必ずしも同じとは限らないという事。
そのあやふやな仮定条件の中で安全性と経済性を実現しようとする場合は、幅広いモデル化の誤差を設計者が認識しつつ、場合によっては複数のモデルで検証しながら、最終的には設計者が責任を負える範囲で「これだ!」と決断するというプロセスです。

 

レビュー経験から学んだ事の
設計業務への活かし。

Qその様なレビュー経験から学んだ事を、
設計業務では、
具体的に
どういかされていますか?

お客様には、選択肢があることを複数あげて説明し選択してもらえる形で提案しています。
内容がわかりづらいと思うので、メールなどの文書だけでなく、電話でも説明しています。
難しい工学的判断は、以前よりも先輩に聞くようにもなりました。
これは多くの技術者がいるさくら構造のメリットだと思います。

 

未来のお客様へメッセージ。

Q最後に、未来のお客様へ
メッセージをお願いします。

お客様と話しをしていると、いまだに計算なのだから答えはひとつと思われている方が多くいます。
つい最近まで私もそれに近い考えをもっていたのですから、専門外の方からすれば、そう思うのも当然です。
しかし、現実には、設計者によって考え方が違い、幅広い選択肢を設計者が選択しながら設計し結果も大きく異なります。

そんな中で、お客様が、安全で経済的な設計をしようとした時に、大事な事は「どの構造設計者を信用し依頼するか?」ということだと思います。

構造設計者が、先ほど説明したモデル化の誤差を認識しているのか?
それによって経済性や安全性にどう影響するか理解しているか?
またその事を、お客様にちゃんと説明し、納得していただく努力をしているか?
という基本的な事をお客様自身が感じ取って、構造設計者を選ぶ必要があるという事だと思います。

構造の中身を専門外の方が理解するのは困難です。だからこそ、お客様は「誰を信用するか?」をつねに意識して構造設計者を選択することをお勧めしたいです。

 

野口 和泉
IZUMI NOGUCHI

社長室主任

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