16日、宮城県を震度6弱の地震が襲い、プールの天井が崩れ数十人がけがをした。
テレビのニュースでは
”まだ新しい建物でこのような被害があるのはおかしい。
構造上問題があるのではないか”
と報道されていました。
私たち構造技術者は設計業務の中で、構造計算の必要な建物が発生した時に出番になります。
つまり構造計算の不要な建物については出番があまりありません。
構造計算の必要な建物とは木造なら3階建て以上か、延べ床面積500㎡を超える大きい建物です。
コンクリートや鉄骨造なら2階建て、または200㎡を超える建物は構造計算が必要です。
つまり、一般消費者が建てる戸建て住宅などは構造計算が必要ありません。
ほとんどの木造住宅は僕ら専門家の出番がないまま建物が造られる事になります。
基準法の言い分は、
「構造計算書の添付は必要ないけど、各自で外力(地震・台風・積雪・積載などの荷重)に対して安全なように作ってね♪」
という事らしいです。
人は面倒な事はやりたがらない本能を持っていますから「自分で安全を確認してね♪」って言われたってやらない業者がどうしても出てきます。
一般の人が最も滞在時間が長いのが一般の戸建住宅です。つまり震災になった時、最も市民が死傷する可能性が高いのが一般住宅です。
なのになぜか構造計算は省略と。
阪神大震災での死者の死亡原因の80%以上が、住宅が倒壊しての圧死です。
その他は火災などですが、建物が倒壊して逃げられなかった事を考えると、ほとんど建物の倒壊が原因で死亡したといっておかしくありません。
でもやっぱり構造計算は業者まかせです。
基準法は「安全を確認してね♪」つぶやくだけ。
さて、では今回のプールの天井はどうだったか?
もちろん天井の構造計算なんかやってません。
また、業者も検討するといっても大変だと思います。一般化した検討法があるわけでもないですし。
構造体はちゃんと構造計算をやっていても、内装関係は構造計算が不要なのですから、わざわざ構造計算をやりたくない人はやらないでしょう。
天井の耐震性を考えていないければ、落ちるべくして落ちたという事です。
これは、この建物だけの話ではありません。
ほとんど全ての建物で言える事です。
「責任を持って建物を建てているのだから、業者がちゃんとした仕事をすればいい事だ!」
まったくその通り。
でも残念ながら、この業界はそういう体質になっていません。本当に残念なことです。
もちろんちゃんと考えてる業者さんもいますが、一般の方がそれを見分けるのは難しいと思います。
一般の方には、こういう建築業界の現実を知っていただき、自分の建てる建物では、こういう事が起こらないよう、施主自らがリードして建物を建ててほしいと思います。
***追記***
昨日のニュースでは振れ止めがなかったそうな。
あれだけ吊り材が長いのに、振れ止めがないとは・・・。
監理ミスと言われてもしかたないですね。
***追記2***
建物の縦揺れが原因であると。どこかの大学教授が指摘したそうです。
国土交通省は振れ止めがない事が原因としていますがはたして・・・
***追記3***
メディア関連
2023年04月18日
さくら構造の「上司選択制度」が各メディアで取り上げられた...
ゼロコスト高耐震化技術
2022年02月03日
2015年、国連サミットで採択された、持続可能でより良い...
構造躯体最適化
2021年04月02日
(1)から(4)に渡り、機能性・経済性を最優先すべき「物...
構造躯体最適化
2021年04月02日
前回に引き続き、機能性・経済性を最優先すべき「物流倉庫や...
構造コンサルティング
2025年08月21日
内閣府「防災白書」によると、 世界で発生する地震の5回に...
自社工法
2025年06月30日
多くの方が抱いている「鉄筋コンクリート造(RC造)はすべ...
構造コンサルティング
2025年06月24日
2025年4月に建築基準法が改正され、対象範囲が縮小した...
構造躯体最適化
2025年05月29日
さくら構造が耐震診断・補強設計をしたことで、耐震補強工事...
【さくら構造株式会社】
事業内容:構造設計・耐震診断・免震・制振・
地震応答解析・
構造躯体最適化SVシステム・
構造コンサルティング
●札幌本社所在地 |
〒001-0033 北海道札幌市北区北33条西2丁目1-13 SAKURA VILLAGE TEL:011-214-1651 FAX:011-214-1652 |
---|
●東京事務所所在地 |
〒110-0015 東京都台東区東上野2丁目1-13 東上野センタービル 9F TEL:03-5875-1616 FAX:03-6803-0510 |
---|
●大阪事務所所在地 |
〒541-0044 大阪府大阪市中央区伏見町2丁目1-1 三井住友銀行高麗橋ビル 9F TEL:06-6125-5412 FAX:06-6125-5413 |
---|
さくら構造(株)は、
構造技術者在籍数日本国内TOP3を誇り、
超高層、免制震技術を保有する全国対応可能な
数少ない構造設計事務所である。
構造実績はすでに8000案件を超え、
近年「耐震性」と「経済性」を両立させた
構造躯体最適化SVシステム工法を続々と開発し、
ゼロコスト高耐震建築の普及に取り組んでいる。