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構造建築でSDGsに取り組む!低価格高耐震は持続可能な暮らしを生む


2015年、国連サミットで採択された、持続可能でより良い世界を目指す国際目標である「SDGs(Sustainable Development Goals)」。2030年までの取り組むべき17のゴール、ターゲットが明確に示されており、行政はもちろん企業も取り組むべき目標として示されています。

さくら構造でも、「構造設計」からどうアプローチするかという方針を策定し、SDGsへの取り組みを始めています。

この記事ではSDGsの概要と、さくら構造の方針についてご紹介していきます。

そもそもSDGsって何?
どうして取り組まないといけないの?

まずは本題に入る前にSDGsが採択された経緯や目的について、簡単におさらいしておきましょう。SDGsの考え方は、発展途上国が取り組むべき目標である「ミレニアム開発目標(MDGs)」が前身となっています。これは途上国がそれぞれ達成すべき問題ではなく、先進国も巻き込んで持続可能な発展を目指すというものでした。

MDGsは極度の貧困と飢餓の撲滅などの目標を設定。2001年~2015年の間で実施され、一定の効果を上げる結果となりました。しかし、今後も持続可能な開発をめぐる状況は厳しいという考えの元、次の世代は更に世界中のあらゆる団体から個人までを巻き込んで取り組むべき目標を新たに設定しました。それが持続可能な開発目標であるSDGs(Sustainable Development Goals)です。

SDGsは他人ごとではなく、自分ごと

上でも触れていますが、SDGsは発展途上国や行政の問題だけでなく、それぞれが自分ごとのように考えてこそ達成されるべき目標です。17のゴールは「貧困や飢餓、教育など未だに解決を見ない社会面の開発アジェンダ」、「エネルギーや資源の有効活用、働き方の改善、不平等の解消などすべての国が持続可能な形で経済成長を目指す経済アジェンダ」、そして「地球環境や気候変動など地球規模で取り組むべき環境アジェンダ」の3つに分かれています。

それぞれが自分に直接関係してくることもあれば、自分の子供や孫に影響があることも考えられるため、比喩でも他人事でもなく、間違いなく自分ごとの問題なのです。

建築業界とSDGs

建築業界は住環境はもちろん、そこに住む人々のインフラを支える建築を行うなど、生活の基盤を支える業界です。そのため、SDGsの課題の中には取り組みやすいものも多く、年々取り組む企業は増えてきています。

では、実際に17のゴールのうち、どのようなことに取り組んでいるのかを一部を事例として紹介いたします。

エネルギーをみんなに、そしてクリーンに

この項目では生活や産業に欠かせないエネルギーを信頼できるものに、かつそのエネルギーをあまねく人々へ行きわたらせる内容となっています。

建築業界では、温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーの利用の促進に取り組んでいるところが多く見られます。中でも災害時や停電時にも使える自家発電の設置の推奨は戸建て建築を行っている企業が取り組みやすい内容です。また、家庭内や建物内のエネルギー消費を抑制するスマートハウスやゼロエネルギーハウス(ZEH)、ゼロエネルギービル(ZEB)の普及も増えてきています。

住み続けられるまちづくりを

発展途上国や先進国、誰もが関係なく、ずっと安全に暮らせる災害にも強いまちづくりが求められるという内容です。

ここでは、自然災害に備えた「サスティナブル(持続可能)」な街づくりがキーワードとなります。台風や水害、大地震に対する耐震性や耐久性のある建物を建築することで、強く、長く、住み続けられる街づくりに取り組む企業が多く見られます。

つくる責任つかう責任

欧米住宅の平均寿命が70~140年に対し、日本住宅の平均寿命は30年と言われています。欧米の「良いモノをケアしながら長く使う」という価値観の違いはあるものの、木造の建築物で考えると、最低40年以上かけて育った木材で建てた家を30年で壊してしまうのは環境保全の観点から見てもいかがなものでしょうか?

この「つくる責任つかう責任」として、元より災害に強く耐久性の高い資材を利用し、リノベーションやリフォームを利用しながらつくる責任を果たすことに取り組む企業などがあります。

建築業界の現状と構造設計業界の課題

上記のように建設業界でのSDGsについての取り組みを紹介しましたが、さくら構造の事業である「構造設計業界」での取り組みはどうでしょうか?デベロッパーや建設会社の中に構造設計部門がある企業では取り組んでいるところが多くありますが、構造設計者の多くが働いている構造設計事務所での、SDGsの取り組みはまだまだ不十分です。

少し話がそれますが、構造設計者にとっての顧客とは、誰のことでしょうか?デベロッパーや建設会社、設計事務所の建築家等が、直接の顧客であると認識している人が多いと思います。しかし、設計者というのは、本来、直接の顧客ではなくとも「施主のため」に設計すべき立場です。そして、さらにもう少し踏み込むと、私たちが設計した建築物を利用する人々も顧客であると考える設計者もいます。

このように顧客の範囲をどのように捉えるかは、構造設計者によってその認識にかなり差があるわけですが、これからの時代、私たち構造設計者は、どこまでの範囲の人たちのことを考えて設計すべきでしょうか。

従来までは、「目の前の顧客」や「明日の自分」のためだけの構造設計を行なっていれば良く、遠い人、遠い未来や世界全体のことまではあまり考えてこなかったように思います。ここでいう「遠い人、遠い未来や世界全体のこと」とは、まさにこの記事のタイトルでもある「SDGs」のことです。これからの時代の構造設計者は、より高い視座で設計を行っていく必要があると考えます。

構造設計は、設計次第で省エネにも貢献でき、建築物の耐久年数を伸ばすことも可能です。また、災害対策と構造設計は切っても切り離せない密接な関わりがあります。柱1本の位置が建物の耐震性、耐久性を決めていくので、気候変動による災害への対策には大きく貢献できるのです。

構造設計者は、誰でもできるわけではない仕事のひとつです。専門性や経験が必要で、数年経験したらかできる仕事という訳でもありません。同じ建築業界でも構造設計のことが分からないという人が沢山います。

構造設計者は、自分たちの仕事にもっと誇りを持ち、発言権や発信を行っていっても良いのではと感じでいます。そうすることが、SDGsの達成にも繋がっていくのではないのでしょうか?

さくら構造は低価格高耐震で
持続可能な暮らしをつくる

さて、ここではさくら構造ではどのようにSDGsに取り組んでいるかを紹介したいと思います。

構造躯体最適化工法

さくら構造では、いくつかの独自工法を開発していますが、その中で肝となっているのが「構造躯体最適化工法」です。この工法では、建築躯体を無駄なく最適な数量で設計することで、建築資材を削減し、建築費の1/3を占める躯体工事費のコストを減らす工法です。この工法を利用することで取り組めるSDGsの事例を簡単に紹介いたします。

まず、建築資材そのものと、その資材を加工するエネルギーを節約することができます。地球にある限られたエネルギーを無駄遣いしないように配慮することが可能です。また、高耐震化、高耐久化を高めたい、サスティナブルな設備を導入したいという時に予算が出ず、泣く泣く断念してしまうことがあると思います。この工法では躯体工事費のコストを削減することが可能なため、建築予算を捻出することが可能となります。

低価格高耐震建築

自然災害に対して耐えうる強固な建築物を設計するのに構造設計の工夫は必要不可欠です。しかし、現在の日本の建築物を見てみるとどうでしょう?「新耐震基準」を満たしていれば耐震性には問題ないという認識が国民のほとんどですが、私たち構造設計者からしてみるとそうではないのです。新耐震基準は震度6強という大地震時には、柱梁といった構造体の一部が損壊することを許容しており、建物は倒壊することを防ぐことを目標にしています。ということは、大地震時には倒壊しないだけで、半壊したり、また利用するには修繕が必要なことを指しています。

日本は地震大国と言われていますが、私たちは建物の安全性を守る立場から「本当にこれで良いのか」と疑問を持っています。しかし、建物を高耐震化するためには多額の予算が必要なので、私たちは、大地震が来ると言われている中で一般住民はその住宅に住み続けています。

そこで私たちは地震に強く、住み続けられる街づくりを行うために、構造躯体最適化工法を利用した「低価格高耐震建築」の普及活動を行っています。誰もが平等に、安心し、気候変動にも対応した長く使える建築物です。新耐震基準を超えた高耐震建築ができる富裕層や自治体の特殊建築物だけが、高耐震化した建築物を利用するのではなく、従来の建築物と同等の価格で高耐震化を実現しています。

このように、構造設計の分野でもSDGsに取り組むことが十分可能です。私たちにしかできないことでSDGsに取り組むことで、構造設計者が社会に与える影響と存在感が高まり、社会的認知向上にもつながっていくと信じています。

さくら構造(株)は、
構造技術者在籍数日本国内TOP3を誇り、
超高層、免制震技術を保有する全国対応可能な
数少ない構造設計事務所である。
構造実績はすでに5000案件を超え、
近年「耐震性」と「経済性」を両立させた
構造躯体最適化SVシステム工法を続々と開発し、
ゼロコスト高耐震建築の普及に取り組んでいる。