「耐震壁を使う耐震工法が優れているとの信念を持っていた」
彼が言っている、耐震壁とか耐震工法が優れているというのは、壁を増やして、強度型で設計するほうが、耐震上好ましい。と言う事をいいたいのだと思います。
これは強度型建物における場合には正しいのですが、靱性型(粘り強さ)の建物にはかならずしも当てはまらないケースがあります。
少しだけ専門的なお話をしてみます。
従来の設計手法である「許容応力度等計算」にて鉄筋コンクリート構造物の構造計算を行う場合には、建物の壁量(柱や壁の断面積と地震力の割合)に応じて設計ルートというものが決められています。
「保有耐力計算」というのは、一番最後のルート3の計算方法の事であり、設計ルート1、2の場合は保有耐力計算を省略して良い事になっております。
しかしどのルートも目標としている耐震性能は同じなので、どのルートだから耐震性能が劣るという事ではありません。
またルート1や2相当の建物であっても保有耐力の計算を省略せずにルート3として設計する事も可能であり、保有耐力計算は強度型~靱性型の建物の両方で使える計算手法となっています。
さて、今問題になっているような高層マンションの場合は、所定の設計地震力に対する壁や柱の量が少ないため、壁などの強度型で設計しようとすると非常に無理が出てきます。
不可能という事ではありません。
しかし、高層マンションのような地震力の大きな建物を強度型で設計しようとすると、柱や壁だらけの建物になってしまい、使い勝手は非常に悪く、またコスト的にも不経済きわまりない建物になってしまいます。
靱性型の建物にも耐震壁を有効に活用する事はもちろんありますが、この耐震壁にも十分粘りを考慮する事によって耐震上有効に活用していく事になります。
この辺の知識は普通の構造設計を行っている技術者は十分知っている内容で、ある意味常識の範囲です。
彼の言葉からは、強度型建物と靱性型建物の区別を認識しているとは思えず、靱性型の高層マンションに対して無理に強度型の概念を組み込もうとしたら、保有耐力計算が満足しないので偽装した。
という風に私には聞こえました。
話は変わりますが、昨日のニュースで
「構造計算は非常にファジーなもので絶対的なものでない。」
といった報道や
「机上で考えた建物と実際の建物が同じとは限らず、図面のみで評価した耐震性は疑わしい」
といった趣旨の内容がありました。やっと少し報道も一連の問題を長く追うことで構造設計の現状を理解しかけてきたかなと思います。
設計者の判断で容易に数値が動く計算を根拠に、せっかくある建物を壊し、資産価値がなくなり、生活する場所を奪われローンのみ負担させられる人々・・・。
何度も言いますが、今回の一連の事件は建築システム全体の問題だと思います。
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さくら構造(株)は、
構造技術者在籍数日本国内TOP3を誇り、
超高層、免制震技術を保有する全国対応可能な
数少ない構造設計事務所である。
構造実績はすでに5000案件を超え、
近年「耐震性」と「経済性」を両立させた
構造躯体最適化SVシステム工法を続々と開発し、
ゼロコスト高耐震建築の普及に取り組んでいる。