地震によって建物が大きく揺すられると、その骨組は自らダメージを受け入れながら倒壊を回避するというのが従来の耐震設計でした。しかし1990年頃から、本来の骨組に対して建物と基礎の間に積層ゴム等の免震装置を設け、地震による揺れが直接建物に伝わらないようにした免震技術や、各種の履歴ダンパーや粘弾性ダンパーを付加し、この部分が優先的に地震エネルギー(揺れ)を吸収することにより、揺れの軽減と骨組の損傷回避をする制震技術などが普及してきました。それではこれら「免震設計・制震設計業務の流れ」を見ていきましょう。
免震構造は、建物と基礎の間に積層ゴム等の免震装置を設け、地震による揺れが直接建物に伝わらないようにした構造です。つまり地震によって地盤が激しく揺れても、建物は地盤の揺れに追随せずゆっくり動くために、大地震時に構造体が損壊することはほぼ無く、建物が傾くといった地震の被害はほぼなくなります。
制震構造(制振構造)は、建物の構造体に取付けた振動軽減装置(錘やダンパー等)を組み込むことで、地震エネルギーを吸収して、建物に粘りを持たせて振動を抑え、建物の揺れを小さくする構造です。よって耐震構造に比べて揺れを抑えられるため、柱・梁の損傷を防ぐことができます。また上層ほど揺れが増幅することになる高層ビルなどの高い建築物に有効な手段となっています。
これら免震設計・制震設計業務の流れを以下にまとめました。
現在、建築基準法は建築物の構造に関する最低の基準として、以下の2つのレベルの耐震性を求めています。
①中地震動に対する財産の保護を目的に、稀に(数十年に一度程度)発生する地震動による地震力に対して構造耐力上主要な部分に損傷が生じないこと。
②大地震動に対する人命保護を目的に、極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震動による地震力に対して建築物が倒壊・崩壊しないこと。
これらは基準法の求める最低の耐震性ですが、これを最低の基準としてではなく、満足すべき目標性能として設計されている建物が多くあります。さらに大半の建築物は大地震に対して倒壊・崩壊しないものの損傷を生じるように設計されていることは認識されておらず、基準法に従った建築物でも、大地震に対しても財産が保護されると思われています。
また、要求性能(耐震性能)が低いのみでなく、想定する大地震の大きさも十分ではないことが指摘されています。例えば長周期地震動対策として、既存の超高層建築物等については、自主的な検証や必要に応じた補強等の措置を促すことが定められおり、この対策で示された長周期地震動の大きさは、地域によっては基準法の極めて稀な地震動の 1.5 ~ 2.0 倍と大きなものになっています。
さらに、都市直下型地震による大震災をもたらした 1995 年兵庫県南部地震(M 7.3)以降、2011年3月東北地方太平洋沖地震(M9.0) 最大震度7、2016 年4月熊本地震( M 7.3) 最大震度7など、震度6弱、6強、7の被害地震が頻発しており、こうした地震で記録された地震動は、建築基準法の極めて稀な大地震の強さを上回るものもありました。
以上より、大地震に対する建築物の要求耐震性能の見直しや、想定する大地震動レベルの見直しにより、従来の耐震設計だけでは、対応が難しい状況が生まれつつあります。この状況に対して、有効な対策が免震・制震構造を採用した建築物になります。

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