定額制構造設計KozoWeb 2018.03.30

建築構造とは?


建築とは、人が快適な生活ができ、また生命・健康及び財産を守るための空間を提供する場所です。その場所で、人が快適な生活をできるための骨組が、建築構造であり地上や地下に安全に建物を支える構成要素になります。

建築構造は、骨組みの中の力の流れ、骨組みの形式、材料や架構の作り方によって、様々なバリエーションがあり、これらの要素の全てを含んだものです。つまり建築構造とは、建築物を構成する構造形式や構造材料などの総称になります。

そこで建築構造についての基本的な考え方をご説明します。

建築構造とは

建築構造の役割は、内外から建物に作用する力に対して建物が崩壊しないように建物を保つことです。内から建物に作用する力は、常に建物に作用している固定荷重・積載荷重があり、これらは重力に起因するものです。この他に一時的あるいは短期的に発生する自然界から作用する外乱があります。この外乱は建物に大きく影響を与え,建物が損傷したり人間や家財に被害が及んだりすると“災害”となります。外乱として考えられるものとして、地震、台風、積雪があります。

この中で建物の安全性を考える中で最も大きな影響があるのが地震です。地震によって建物が揺すられることで倒壊、損傷などの被害が生じ、また津波による建物倒壊や流失の被害、地盤の液状化による被害が生じます。

また近年、台風が本土を直撃してその被害が多くなってきています。台風の進路や規模などは予測されるようになってきていますが、その風圧力により屋根や外装材の被害が生じ、また大雨に伴う土砂災害により建物を支えている地盤そのものが被害を受けることもあります。

降雪は確率的な荷重として把握されていますが、ときおり過去の統計から推測できないような積雪により被害が生じることがあります。この他にも竜巻による被害が発生していますが予測や対応がほとんどできていません。

これら建物に作用する力は、最終的に地盤によって支えられます。ですから、地盤の強度(地耐力)も大変重要な要素です。建築構造を検討するとは、別な言い方でいえば、建物に作用する力を如何にスムーズに、構造に大きな負担をかけずに、地盤まで伝達するかを考えること、つまり骨組から地盤まで伝わる力を把握することだといえます。


構造設計業務について
構造設計業務の概要を「さくら構造の仕事の進め方」でまとめています。ぜひ、あわせてご覧ください。

構造形式と構造材料

「建築構造」は、骨組の構造システムとその部材に使用する材料に分けることができます。以下に簡単に「構造形式」と「構造材料」に整理しました。



(1)構造形式

建物の「構造形式」は、特殊な構造を含めるとその種類は無数にありますが、基本的には柱と梁を主体とした柱梁構造と面材を主体とした壁構造とに分けられます。



(2)構造材料

建物の「構造材料」は、様々な場面に応じた材料が利用されています。例えば、高層ビルのような建物では「鋼材」が用いられます。これは、高層建物なので重量の重い材料を使った場合、構造的にも不効率、不経済となってしまうからです。そのため軽くて強い鋼材が用いられています。

一方、一般的な住宅では日本より古くから用いられている「木材」が主流です。 また、マンションのような遮音性や集合住宅としての機能性を確保するときは「鉄筋コンクリート」を用います。

下表のように、材料にはそれぞれのメリットやデメリットがあります。これらの材料性質のメリット、デメリットをよく理解し設計に活かすことが重要になります。




構造躯体最適化工法について
さくら構造は、構造形式や構造材料の特性を活かした自社工法を開発しています。
詳しくは「構造躯体最適化工法」をご覧ください。

建物構造の安全性

建築の安全性は構造体のみが注目されることが多いですが、近年の地震被害では天井材等の非構造部材の損傷による落下、さらには仕上げ材,家具の転倒などによって引き起こされることも多くなっています。

そのため建物全体としての安全を考えることが必要性であり、建物側での配慮以外にも家具や什器の転倒防止を行うことにより実質的な安全の確保ができます。

構造形式と非構造部材,仕上げ材の安全性とは関連が深く、例えば鉄筋コンクリート壁式構造のような強度型の建物は地震時の変形が少ないことが長所ですが、一方で応答加速度が大きくなる傾向があります。鉄骨造のような靭性型はその逆で応答加速度は若干減りますが水平変形が大きくなります。

応答加速度の大きければ家具の転倒などが生じ、水平変形が大きければ非構造部材、仕上げ材の損傷に繋がります。つまり構造形式の選択と非構造部材の耐震安全性確保の条件が関連していることになります。

以上より「建築構造」は、「構造形式」「構造材料」に大きく分けられ、さらにそれらと非構造部材を含めた安全性確保の考え方は様々です。最適な答えを探すには設計者の技量、経験、倫理観によるところが大きく、多くの条件をバランスよく取り入れ、安全性に配慮した建物を設計するのが構造設計者の役割になります。