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ハイウォール工法「WRC造 8階建て」

ハイウォール工法3D

さくら構造は、8 階までの壁式鉄筋コンクリート造の建築を可能とする『ハイウォール工法』を開発致しました。
法改正と設計指針の策定により、8 階建てまでの壁式鉄筋コンクリート造の設計が「確認申請」と「適合性判定」の一般的な審査で可能となりましたが、複雑な解析が必要となるため普及は進みませんでした。しかし、さくら構造では研究を重ね、日本初となる壁式鉄筋コンクリート造 8 階建ての確認済証を取得しております。

ハイウォール工法とは

中高層RC造でよく聞く悩み

  • 耐震性とコストの両立が難しい。
  • 柱や梁型が出てデザイン性に影響を与えてしまう。
  • 配筋が複雑で施工が難しい。

ハイウォール工法の特徴

ハイウォール工法の特徴

中高層RC造の悩みを解決し、多方面へのメリットとなる特徴を兼ね備えています。

比較図

耐震性

壁式構造とラーメン構造の比較

壁式構造とラーメン構造の比較

一般的な中高層鉄筋コンクリート造で採用されるラーメン構造は「柱・梁(線材)」を耐震要素とするため、比較的変形しやすく、接合部に力が集中しやすいという特徴があります。

ハイウォール工法で採用している壁式構造は「壁(面材)」を耐震要素とし、6面体(建物全体)外力を受け止めるため、変形が小さく抑えられるとともに、局所への力の集中を避けられる非常に安定した構造です。

壁式構造は過去の震災被害からも裏付けられた優れた耐震性を持ちます。

1995年兵庫県南部地震の際にも開口部周辺にひび割れが発生した程度の損傷のみで、ほとんど被害はありませんでした。

保有水平耐力の比較

同一プランの8階建て共同住宅を壁式構造(ハイウォール工法)と、ラーメン構造で設計し、各建物の耐力検証を行いました。

【検証プラン】

保有水平耐力の比較 検証プラン

【検証結果】

保有水平耐力の比較 検証結果

ハイウォール工法はRCラーメン構造と比較し、ほぼ全層で計算上、約1.7倍程度の保有水平耐力を有しているという結果になりました。

約1.7倍程度の保有水平耐力

施工性

ハイウォール工法は「鉄筋」「型枠」「コンクリート」の各面において工期短縮・人件費削減の可能性をもつ施工性の高い工法です。使用鉄筋の一部に太径が含まれるためガス圧接が発生しますが、その点以外は低層壁式の施工要領と大きな違いはありません。

鉄筋について

ハイウォール工法で用いられる太径の鉄筋は梁でD25まで、壁の端部補強筋でD29までです。一般的な8階建てRC造よりも構造躯体に使う太径の割合が少なく、鉄筋の加工や圧接手間を削減することができます。

梁に使用される鉄筋径の傾向

太径鉄筋の割合が少ない

型枠・コンクリートについて

型枠の加工、組み立て、コンクリートの打設のしやすさは、構造躯体形状そのものの影響を受けます。ハイウォール工法は「面材」で構成されるためRCラーメン構造に比べ凹凸が少なく、型枠の加工や組立手間の削減、コンクリートの打設不良削減に繋がります。

ラーメン構造とハイウォール工法比較

凹凸が少なくシンプルな形状

意匠計画のメリット

ハイウォール工法は室内計画の自由度の高さだけでなく、耐火性や蓄熱性・気密性、防音性にすぐれ、居住性の高い建物を実現します。

自由度の高い室内計画が可能

【RCラーメン構造の室内空間】

RCラーメン構造の室内空間

RCラーメン構造での悩み

  • ・構造体が室内に出てくる
  • ・圧迫感を感じる
  • ・家具、エアコンの配置が難しい

【ハイウォール工法の室内空間】

ハイウォール工法の室内空間
  • 柱や梁型のない箱型のすっきりした空間を実現
  • デッドスペースを削減、空間を自由に使える
  • 同じ床面積の住戸でも有効面積が広い

今までの中高層RC建物で不可能だった空間を実現

優れた耐火性能

構造体を構成するコンクリートは、1,000度の炎に2時間さらされてもそのものが燃えることはなく、強度が下がりません。

優れた耐火性能

壁式構造はコンクリートの壁、床、天井の6面体で構成されているため、各住戸、部分的には部屋ごとに防火区画の役割を果たします。ハイウォール工法は外からの火災だけでなく、内部火災の被害も小さく抑えることが可能です。

蓄熱性・気密性が高い

蓄熱性・気密性が高い

床壁一体構造のため、気密性が非常に高く、快適な室内環境の維持が可能です。また、構造体のコンクリートそのものが蓄熱体となるため、ムラのない室内環境をつくることができます。

RC造・鉄骨造・木造との比較

鉄筋コンクリート造建物の床は一般的に厚さ18cm以上のコンクリート版です。木造や鉄骨造に比べ、振動が伝わりにくく、騒音問題に対して効果的です。

コストメリット

躯体数量の比較

同一プランの8階建て共同住宅をRCラーメン構造から壁式構造(ハイウォール工法)に変更した場合、どのくらい躯体数量が変動するか検証を行いました。

【コンクリート数量】

コンクリート数量

約20%削減

【型枠数量】

型枠数量

ほぼ同量

【鉄筋数量】

鉄筋数量

約30%削減

【躯体費坪単価】

躯体費坪単価

約15%削減

検証プランの数量比較では上記結果となりましたが、ハイウォール工法は更なる躯体費削減の可能性を持っています。

  • ・太径鉄筋が少ないことによる圧接手間の削減
  • ・プラン調整、階高統一による型枠転用の可能性

構造躯体費も、こだわった意匠プランの実現と同様に、意匠設計者と構造設計者が協力できるかどうかで削減量は大きく変わります。

建物高さの抑制

建物高さの抑制比較図

ハイウォール工法は壁と柱が一体化するため、RCラーメン構造のように室内に梁型が出てきません。そのため、必要な天井高を確保した上で階高を抑えることが可能です。

RCラーメン工法・ハイウォール工法比較

天井高の確保と階高の削減の両立が可能

ハイウォール工法立面図

さくら構造では意匠事務所様、建設会社様、デベロッパーのお客様だけではなく
お施主様からのお問合せもお待ちしております。

壁式8層のメリットデメリット
は動画で確認


「WRC造8階建て」ハイウォール工法 FAQ

1. ハイウォール工法は特別な審査が必要なのでしょうか?
確認申請と適合性判定の一般的な申請で審査を通すことが可能です。

2000年の建築基準法改正で限界耐力計算が導入されました。(第81条第2項第1号ロ)
そして、その限界耐力計算を用いて壁式構造の設計を行うことで
「地上階数5階以下、軒の高さ20m以下、階高3.5m以下」
の規定を適用外とすることができます。(告示1026号)
2. 上下階の壁配置を変えたプランでもハイウォール工法を採用することはできますか?
一般的な1~5階建ての壁式構造と同様で、上下階の壁配置は1階から最上階まで同じプランが推奨されます。
上階で壁を減らす事は可能ですが、各階ごとでプランが変わるような計画は無理が生じるため基本的には整形である事が前提です。
今後、さくら構造で研究を重ねる事で、形状やプランについての制約を緩和出来る可能性はありますが、いずれにしても1階が全面駐車場などの、いわゆるピロティのような計画は難しいです。
3. 液状化する地盤ではハイウォール工法を採用できないのでしょうか?
液状化する地盤でもハイウォール工法を採用することができます。
4. 設計、審査にはどのくらいの期間を要するのでしょうか?
建物の規模、プランにもよりますが標準的な期間は下記の通りです。

構造予備検討+審査機関事前相談+意匠構造計画調整 :約1ヶ月
実施設計 :約1ヶ月
確認審査・適合性判定提出から審査対応終了まで :約1.5~2ヶ月


審査機関はハイウォール工法の審査数がまだ少ないため、一般的な建物に比べ審査期間は長めになります。想定外に工程を遅らせてしまう事態は絶対に避けなくてはなりませんので、事前に方針だけでなく審査日数を確認しておくことで工程への影響を最小限に抑えるよう努めています。
5. 従来のRCラーメン構造の6階~8階と比べて、構造躯体費はどの程度になるのでしょうか?
高い耐震性を持ちながらもコストパフォーマンスに優れており、8階建てのRC造と比べた結果、構造躯体工事費16.7%削減を実現しています。
6. ハイウォール工法はどこの地域でも申請可能でしょうか?
はい。建築確認検査、構造計算適合性判定が行える審査機関があれば、地域問わず申請可能です。
7. 吹き抜けのあるプランでハイウォール工法を採用できますか?
階段室やEV程度なら可能ですが、まだ実績数が少ないため、実際やってみないとわからないことが多くあります。プランを見て判断しますので、お気軽にお問い合わせください。
8. 搭状比に制限はありますか?
搭状比が4を超える場合は、一般的な建物と同様で転倒の検討が必要となり、基礎が厳しくなるため塔状比4以下とするのが望ましいです。 設計可能かどうかはプランを見て判断しますので、お気軽にお問い合わせください。
9. 以前審査を通した物件の基礎工法を教えて下さい。
柱状改良(布基礎)と杭基礎です。 地盤が良ければ、直接基礎となりますし、地盤が悪ければ杭や柱状改良を採用します。ハイウォール工法だからといって、杭が増えるということはなく、同規模のRC造と同等となります。
10. ハイウォール工法と低層壁式の施工要領の違いを教えてください。
ハイウォール工法は、一般的な壁式構造では使用しない太径鉄筋が必要となるため、ガス圧接継手が発生します。それ以外は、ハイウォール工法と低層壁式で施工要領に大きな違いはありません。

さくら構造構造躯体最適化SVシステム工法

自社工法に関するコラム

さくら構造(株)は、
構造技術者在籍数日本国内TOP3を誇り、
超高層、免制震技術を保有する全国対応可能な
数少ない構造設計事務所である。
構造実績はすでに5000案件を超え、
近年「耐震性」と「経済性」を両立させた
構造躯体最適化SVシステム工法を続々と開発し、
ゼロコスト高耐震建築の普及に取り組んでいる。

【さくら構造株式会社】
事業内容:構造設計・耐震診断・免震・制振・
地震応答解析・
構造躯体最適化SVシステム・
構造コンサルティング

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