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さくら構造のその他のブログ 2006.03.12

構造設計者は”内縁の妻”のような存在

建築物チェックイメージ画像
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「構造設計者は法令上の設計者ではないのだから、本来は構造設計の不備も元請けの建築士である意匠設計者が全責任を負うべきではないか?」
と言うご意見を頂きましたので、私の考えを書いてみます。

構造設計者は”内縁の妻”のような存在

姉歯さんも、浅沼さんもどちらかと言うと、一見、人が良さそうな感じに見えるのは私だけでしょうか?人を騙すより、騙される感じのタイプに見える。
私は全く面識もなく直接知らないのですが、浅沼さんを知っている方に言わすと非常にまじめな人・・・という噂も聞きました。
また、マスコミの方に言わすと「二人とも、タタキがいがないんだよね」
といったキャラのようです。
なんかちょっと嫌な表現ですが・・・
さて、なぜ彼らは「私は設計者ではないので、設計責任は負わないよ」と言わないと思いますか?
もしかすると人の悪い構造屋さんならそう言うかもしれませんよね。
私が予想するのは、彼らは法令上の解釈とは関係なく「自分たちは設計者である」と思っているからだと思います。
法令上、また社会的には設計者ではないけど。
実はこういう事って世の中に結構あるのではないかと思います。
例えば、よく聞くのが“内縁の妻”の話で、
「法律上正式な“妻”ではないけど、実質的な“妻”に相当するため、相続や慰謝料を請求する権利がある・・・」
これを今回の事件に置き換えると、
「法律上正式な設計者ではないけど、実質的な設計者に相当するため、設計責任を負う義務がある・・・」
でも、”内縁の妻”の話はいい話なんですが、”構造設計者”の場合は悪い話で社会的認知もないのに設計の責任だけは、おわされるってことなんでしょう。
私も構造設計者は、法令上どうあれ、実質的設計者であると思っています。
また責任も感じていますし、自分の仕事に誇りに思っています。
おそらくほとんどの構造設計者はこういう気持ちで働いているでしょう。
そして彼らも間違いは犯したにせよ、自分たちが設計者だと認識しているからこそ「私は設計者ではないので、設計責任は負わないよ」なんて事は言わないのだと思います。
ではこういう業界の状況がどうかと言えば、異常な状態である事はあきらかです。
今回このような事件が発生し、結局みんなが損をしているのではないかと思います。

意匠設計者: 私が構造設計した訳でないのに、なんで私にも設計責任を負わされるんだ。
構造設計者: 私は設計者でない事になってはいるが、責任だけは負わなきゃいけないんだ。
施   主: 私は構造設計者なんて会った事もないし、そもそも知らないぞ。私のお金をかけて建てた建物は一体どうなるんだ。

もう、めちゃくちゃです。
ホントにこのルールなんとかなりませんかね。
誰がいいとか悪いとかとかでなく、このルールをほったらかしにしてきた歪みがここにきて一気に吹き出している感じがします。
いつかは正式なお嫁さんになりたい・・・そんな構造設計者の独り言でした。

田中 真一
SHINICHI TANAKA

代表取締役

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