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耐震診断・耐震補強設計 2018.04.06

耐震診断の費用相場は?補助金制度は利用できる?

建物を建築するために準拠する建築基準法や各種設計基準は、過去の大きな地震災害を経て見直されてきています。特に1978年の宮城県沖地震(マグニチュード=7.4、死者28人)を契機として、1981年(昭和56年)に建築基準法の耐震規定が大きく改正され、現在の新耐震基準となりました。

この新耐震基準(1981年6月)以前に建てられた旧建築基準法による建物(旧耐震基準)の中には耐震性能が不足しているものが多数あり、1995年に起きた阪神・淡路大震災(マグニチュード=7.3、死者6,434人)においては、これらの建物に被害が集中しました。

耐震診断の目的は、既存の建築物で旧耐震基準において設計され耐震性能を保有していない建物(既存不適格建築物)を、現行の耐震基準と比較して耐震性能をどの程度保持しているかの判定を行うことです。特に旧耐震基準で設計された建築物に対して耐震診断が行われています。

1.耐震診断の費用相場は?

耐震診断の費用は、鉄筋コンクリート造・鉄骨造の標準的な耐震診断の費用(一般図・構造図が存在し、検査済みである建物の場合)は、概ね以下の費用が目安となります。



いずれの場合も設計図書(特に構造図)が無い場合はそれらの図面を復元する必要がありますので、現地調査項目が多くなり、上記の㎡単価を大きく上回ります。引用:一般財団法人日本耐震診断協会(http://www.taishin-jsda.jp/price.html

2.耐震診断の内容

耐震診断は、まず予備調査により、建築物の概要や使用履歴、増改築、経年劣化、設計図書の有無等の内容を確認、耐震診断のレベルの設定等を行います。その後、現地調査にて、マンションの現況を把握し、設計図書との整合性を確認すると共に、マンションの劣化状況等の診断計算に必要な調査項目を確認します。調査結果から構造の耐震性の検討・評価を行い、耐震補強案及び概算工事費等を検討します



耐震診断には第1次診断法から第3次診断法まであり、一般的には診断次数が高くなるほどより詳細な判定ができ、その結果の信頼性は高くなります。どの診断法を適用するかは、対象建物の構造形式や規模、これら診断法の特徴などを考慮して決める必要があります。

3.補助金制度は利用できる?

各区市町村において、耐震診断、耐震改修などに要する費用の一部を助成する制度を設けている場合があります。例えば東京23区では以下の耐震診断の助成が受けられます。



また、病院、学校、社会福祉施設等においても耐震診断に要する費用の一部を助成する制度があります。補助金を交付には東京都の緊急輸送道路を除きほとんどの役所で、第三者機関のチェックが必要となります。

また、東京都では、震災時の救助や物資輸送などを円滑に行うため、応急活動の中心となる防災拠点等を結ぶ緊急輸送道路沿道の建物の耐震化に取り組んでいます。そのうち、新たに緊急輸送道路沿道の建物の所有者の耐震改修費用の負担を軽減するため、耐震改修等支援融資制度を設けています。



※緊急輸送道路とは、震災時に避難や救急・消火活動、緊急物資輸送の大動脈となる幹線道路をいいます。震災の被害を最小化し、早期復旧を図るためには緊急輸送道路沿道の耐震化を進め、建物の倒壊による道路閉塞を防止することがとりわけ重要です。東京都内の緊急輸送道路は、総延長約1,970kmにおよび、その沿道で、地震により倒壊し、道路閉塞を引き起こす恐れのある建物は、約1万棟(うち耐震診断が必要なものは6,000棟)存在すると推計されます。
引用:東京都耐震ポータルサイト(http://www.taishin.metro.tokyo.jp/

4.既存不適格建築物の耐震安全性

建物の耐震性能が十分でない場合、大地震時に構造躯体の損傷、崩壊等の被害が生じる恐れがあります。安全性はすべての建物に確保されることが望ましいのですが、すべての既存不適格建築物に耐震性能の確保を義務化することは経済的な理由等により難しい現状があります。

そのため当面の対応として、要緊急安全確認大規模建築物および緊急輸送道路沿道建築物には耐震診断の実施義務を、所管行政庁による指示の対象となる特定建築物(多数の者が利用する学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、老人ホーム等)では、建物の所有者に耐震診断を行い、必要に応じて耐震改修を行うよう努めなければならない努力義務が定められています。この法律を「耐震改修の促進に関する法律」(耐震改修促進法)といいます。

既存不適格建築物であっても、耐震診断の結果、耐震性能が高く評価されることもあり、既存不適格建築物だからといって危険な建物とは限らないことがあります。しかしながら、耐震診断の結果により建築基準法における耐震性能に適合しない既存不適格建築物であった場合、耐震補強等により安全性を確保することが国民の努力義務として求められています。